Kultivator2010/09/24 01:33

 久々に紹介は、チョッとマニアックなアルバム。
スウェーデンの「Kultivator」1980年発表唯一作「Barndomens Stigar」。
因みに「Kultivator」は日本語の「耕耘機」。なぜ耕耘機・・・。

曲調は全体にアヴァンギャルド寄りの攻撃的なカンタベリー系といったような何とも形容の難しいジャズロック。
幾度となく言っているが、こんな曲調の時は全てプログレとジャンル分けされる。

内容はといえば、とにかく演奏が絶品。安っぽい表現だが、「カッコイイ!」の一言。
プラス、女性ヴォーカルが更に味を豊かに。
なぜ、こんないいグループが1枚で解散してしまうのか非常に残念である。
それぞれのメンバーの個性がぶつかる為か、このようなテクニカルなグループには何かありがち。
それはアマチュアでも、更には会社でも・・・か?
そんな事はさておき。

1曲1曲の解説はあえて割愛。
一般的にはあまりお薦めできないが、カンタベリー、ジャズロックが好きな方は、このジャケットを見かけたら買い!
自分的ベスト10に入る大傑作!!(あくまでも自分的にです)

Curved Air2010/08/25 16:15

 久しぶりに一般的にいうプログレ?を紹介。

イギリスの「Curved Air」、1973年発表の4作目「Air Cut」。
以前紹介した「Renaissance」と比較されることも多い女性ヴォーカルグループである。

前作からヴォーカルの「Sonja Kristina」以外メンバーを総入れ替え。いわば第二期Curved Airの一作目である。注目は、後に「U.K.」等で活躍するヴァイオリン、キーボードの「Eddie Jobson」。当時、弱冠18歳。前メンバーのヴァイオリン「Darryl Way」と比較しても、決して引けを取らない存在感は恐るべし「少年」である。

内容は1曲目「The Purple Speed Queen」。いかにもアルバムの1曲目といった感じで、ジャーン!って感じのインパクトのあるポップロック。キーボードソロの後にギターソロとありがちな曲構成だが、誰にでも楽しめる曲としては名曲か。
で、このアルバムの一番お薦め曲は10分半の大作3曲目「Metamorphosis」。ピアノの前奏から入り少しクラシカルな感じも、途中変拍子を絡め静かに盛り上がっていくところはプログレファンにはたまらない1曲。「Eddie Jobson」の力量を伺える名曲である。

第一期と好みが分かれるところだが、プログレの入門編としてはこちらがお薦め。

Animal Logic2010/08/05 06:24

 チョッと毛色を変えて、たまにはポップロックを。

アメリカの「Animal Logic」1989年発表のセルフタイトルアルバム。
なぜここに登場したかというと、ドラムはポリスのStewart Copeland、ベースはリーターン・トゥ・フォーエヴァー等でお馴染みのStanley Clarkという超豪華メンツ。有名ではないが女性シンガーソングライターDeborah Hollandがヴォーカル。おまけにイエスのSteve Howeが2曲程サポートで参加してるという話題性たっぷりのアルバムゆえ。
しかし、その話題性とは裏腹にこのアルバムは即廃盤。おまけに、2年後の2作目を最後にさっさと解散。

内容は全体に完全なポップロック。4分前後のノリのいい曲が並び、今まで紹介してきたアルバムとは一線を画す。
殆どの曲がヴォーカルのDeborah Hollandの作品だが、かといってよくある女性ヴォーカル中心のバックバンドではなく、各パートだけを気にして聞くと随所にテクが感じられ、結構楽しめる。なにせリズム系が前記の二人なので単なるバックでは決してあるはずがない。ヴォーカルを含め、全体にバランスが取れてる感じがあって聴きやすいアルバムである。
曲調は自分の好みではないが、リズム系が前記の二人ゆえシャキッ!としたい人にはお薦めの1枚である。
しかし、廃盤の為入手困難。中古で見つかっても高値必至は覚悟で。

Aphrodite's Child2010/07/16 00:26

 プログレファンには有名な1枚を紹介。

ギリシャの「Aphrodite's Child」三作目にしてラストアルバム、1971年発表2枚組全24曲の大作「666」邦題=アフロディーテス・チャイルドの不思議な世界。
って邦題を考えた方は、一通り聴いて直感で付けたであろうタイトル。でもそのままズバリ(笑
名タイトルです。
メンバーはキーボードのVangelisを中心に4人。Vangelisといえばプログレファンなら知ってると思うが、一般的には映画「炎のランナー」、「ブレードランナー」、更には日本の「南極ランナー」・・・ではなく「南極物語」のテーマ曲を作った人と言ったほうがわかりやすいかと。

その内容はといえば映画のようなキーボード中心ではなく、しっかり?バンドしてます。
ヨハネの黙示録第13章をモチーフにしたコンセプトアルバムのようだが自分にはそんなことはさっぱり。しかし、曲としては非常に面白い。聴けば聴く程「不思議な世界」へ導かれること必至!
中でも「∞」という曲はいろんなサイトで紹介されていて、不思議というかなんとも・・・。この曲のヴォイスは女優のIrene Papasらしいのだが、女優根性を見せつけられた(聴かされた)というか、すごいの一言。決して外に音が漏れないよう、更には小さい子には絶対聞かれないように気をつけなければならない危ない名曲である。

Akritasと並び、自分的にギリシャ傑作アルバムの1枚であるが、同様に一般的には決してお薦めはしない。
もし中古で売ってても結構な価格だと思うので、内容的にも金銭的にもそれなりのリスクを背負える方は是非お手元に。

Fairport Convention2010/07/11 01:40

 前回グループ名を出したのでせっかっくだから。

「Fairport Convention」1969年発表の2nd、「What We Did On Our Holidays」。
Sandy Denny初参加アルバムである。
Fairport Conventionと言えば、4thのLiege & Liefが一般的に傑作として知られているが、あえてここでは2ndを。
理由は、このアルバム1曲目のタイトルが前回紹介したグループ「Fotheringay」と同名だから。どういう繋がりがあるかは定かではないが意味深げな感じがして気になる・・・。ただそれだけ(失礼)。

そんな1曲目「Fotheringay」の曲調は、翳り+切なさ十分でしんみりと。これぞSandyのフォークソングといった感じの名曲!
かと思えば2曲目の「Mr. Lacey」はコテコテのブルースロック。しかし、しゃがれ声ではなくSandyの美声で暑苦しさが軽減されている感じ。ブルースロック好きの方には違和感を感じずにはいられない1曲・・・か?
3曲目の「Book Song」はのんびりとしたフォークロックでハモリがキレイな癒される佳作。
等々、以降はフォーク基調の曲を中心に、中近東風な曲などもありバラエティな全12曲。
アルバム全体としての纏まりは今ひとつな感があり、Sandy Dennyが加入したことによりどういう方向に向かうかみんなして模索してるってところか。

Fairport Conventionを深く知りたい方にはお薦めって事で。

Fotheringay2010/07/05 23:07

 イギリスのフォークロック・グループ「Fotheringay」の1970年発表のセルフタイトル唯一作品。
イギリスのフォークロックを語る上で絶対に押さえておかなければならない伝説の女性シンガー「Sandy Denny」がFairport Conventionを一時脱退後に作ったグループである。
しかし、資金的な行き詰まりからアルバムを一枚残し解散。
その後ソロ活動、The Strawbs、Led Zeppelinにゲスト参加等々引く手数多の人気ぶり。
1973年にFairport Conventionに復帰するが翌年いろいろあり再び脱退。
後にもソロとして活動するが1978年不慮の事故により31歳の若さで突然の他界。非常に残念である。

さてアルバムの内容はといえば、これが「いい!」の一言。
Sandy Dennyのヴォーカルもさることながら、バックの演奏がFairport Convention、ソロの頃より自分好み。
決してSandy Denny中心のバックバンドではなく、Fotheringayというバンドとして全体にバランスがとれ纏まりを感じさせる。
特に1曲目の「Nothing More」の翳り感と格好良さは名曲!

フォークロック好きの方には是非お薦めの1枚!

Aksak Maboul2010/06/29 23:10

 久々にアルバム紹介。

ベルギーのアヴァンギャルド・ジャズロックグループ「Aksak Maboul」。
1980年発表の2ndにしてラストアルバム「Un Peu De L'ame Des Bandits」。

Aksak Maboulはギター、ベースのヴィンセント・ケニスと、知る人ぞ知るバンド「COS」在籍時中のキーボード、マルク・ホランダーが中心となって始まったプロジェクトで、ヴィンセント・ケニスは1枚目で脱退、その後このアルバムを残しサッサと解散。
しかし、その2枚が非常に完成度が高く、ことさらこの2ndはマニアの中では歴史的名盤といわれる程。ヘンリー・カウのフレッド・フリス、クリス・カトラーが参加したことにも注目したい。

で、内容は1曲目「A Modern Lesson」、女性ヴォーカル「Catherine Jauniaux」の狂気的声が炸裂!これぞアヴァンギャルド・・・?
かと思えば2曲目「Palmiers En Pots」はメロディアス且つクラシカルなユーモラス作品。
更に3曲目「Geistige Nacht」はカンタベリー風ジャズロック。
4曲目「I Viaggi Formano La Gioventu」は中近東民族音楽風。
5曲目「Inoculating Rabies」アヴァンジャズ。
そして6曲目、23分の大作「Cinema」。タイトル通り絵が浮かんできそう。Catherine Jauniaux嬢再び参上も、もはや曲ではない?
ラスト7曲目「Bosses De Crosses」、これぞアヴァンジャズ的な曲で締め!などとバラエティー。
自分的にも大変楽しめる1枚で、歴史的名盤と言われるのが何回か聴いてるうちに感じてくる。

更に注目は「Pat Andrea」のアルバムジャケット。
これもまた傑作にて楽し!