Bella Band2010/12/11 00:03

 前回に続き、イタリアをもう1枚。

「Bella Band」1978年発表のセルフタイトルアルバムで唯一作。
全曲インストロメンタルの技巧派ジャズロックである。
メンバーはギター、ベース、ドラム、キーボード、更にはサックス・クラリネットの5人で、ジャケットのようなお歳を召した方ではなく、実際は若者らしい。

内容はといえば、これがまたかっこいいの一言!
1曲目の「Faidadiesis」でとりあえず心を鷲づかみにされる。特にギターとキーボードのソロパートは、これでもかと言わんばかりに弾きまくり。
2曲目「Promenade」は少しゆっくり目にメロディアスな約11分。
3曲目「Porotopostrippa Sul Pero」はインプロ的なややフュージョン寄りの1曲。
4曲目「Cipresso Violento」はスローな味わい深い曲に。
更に5曲目はCDのみのボーナス「Mattutina」。
通常ボーナス曲は、その通り大抵は「おまけ的内容」が殆どなのだが、この曲は違った。自分的には1曲目の次に好きな曲が、このボーナス曲で、レコード好きな方には何とも気の毒な曲である。

ボーナストラックを含んでも37分弱と非常に短く、もう少し長く聴きたいと思うのは、我だけではないはず。未発表音源発掘を期待。
Mahavishnu Orchestra、Return To Forever等が好きな方にはお薦めの1枚って事で。

Premiata Forneria Marconi2010/12/03 23:28

 そう言えば、イタリアはアヴァン系プログレのアルバムばかり紹介してた・・・。
って事で、今回はど真ん中「Premiata Forneria Marconi」周知の通称「PFM」。
デビューから約40年、いまだ現役の重鎮バンド。
その1972年発表のPFM名義の1st「Storia Di Un Minuto」。(実際はQuelli名義でのデビューが最初らしい)

程良い重さと、程良い明るさ、更には芸術性を持ち合わせた超絶技巧。
1stにして、どこをとっても文句の付けようの無いこのクオリティーの高さは圧巻の一言。

内容は1曲「Introduzione」。フェードインしながらジワジワと音数が増え、
2曲目「Impressioni Di Settembre」で徐々に盛り上がり、
3曲目「E' Festa」で曲調が一変、ドカーン!今でもライブで必ず演奏される名曲である。
4曲目「Dove...Quando...(Parte I)」は、また一変してアコースティックな叙情的雰囲気に。
5曲目「Dove...Quando...(Parte II)」再び盛り上がり。
6曲目「La Carrozza Di Hans」いきなり語りから入り、静かに進んで行くも、後半またも盛り上がり。
そしてラスト7曲目「Grazie Davvero」入りは静かに、も徐々に壮大な展開に。そしてラストは静か〜に。

転調、変拍子がこれだけ自然に感じられるアルバムは無いと思う程心地よく、1枚を通して聴いた後にまるで物語を語られた様な気に陥る傑作。

これからイタリアン・プログレを聴こうと思ってる方は、先ずはこちらの大お薦めアルバムから。

Pierrot Lunaire2010/06/01 03:31

 また少しマニアックな作品に戻って、イタリアの「Pierrot Lunaire」。
以前紹介したOpus Avantraと比類されるイタリア・アヴァンギャルドロックグループというかユニットである。
その1976年発表の2nd、「Gudrun」。
1stはイタリアン・チェンバーロックとしてなかなかのいい作品なのだが、あえてここでは2nd。

メンバーはこの2ndから中心2人に。それにイギリス人女性ヴォーカルJacqueline Darbyを迎えての作品だが歌詞はイタリア語。更にはソプラノ声であることもあり全体にオペラ調の演劇的な作品になっている。

内容は、1曲目にいきなりのアルバムタイトル曲。それも11分半の大作。
静か〜なシンセの入りから、呪術的ヴォイスが絡んで、チェンバロが入ってきて、で語りが入り・・・と、のっけから前衛的で不思議な世界へ。
で、2曲目「Dietro Il Silenzio」はメロディアスなピアノの弾き語り。これがなんとも感動的!名曲の一言。
トータルアルバムの1曲1曲を紹介すること自体無意味ということで3曲目以降、オペラ調の曲あり、正統派?イタリアンプログレ調あり、再び呪術的ロックオペラありってな感じ。

Opus Avantraもそうだが、イタリアはこの手の作品でたまに奇跡的傑作を排出するので、うっかりしていると逃してしまう。

あくまでも一般的にお薦めは1st。
しかし、自分的にはこの2ndが大好き。いかにもイタリアらしい大傑作の1枚!と言いたい。

Pangea2010/05/08 23:16

 イタリア幻のユニット「Pangea」
その1976年の唯一作「Invasori」。
このアルバムは当時未発表だったが、2007年にCD化されたいわく付き。
イタリアのジャズグループMADRUGADAのメンバー二人が中心となって制作したらしいのだが、その他の情報は皆無。

内容は全10曲。一部唄もあるが、殆どがインストロメンタルの曲調には一貫性が無く、前衛的だったり、ソフトロックあり、カントリーぽかったり、更にはピアノの曲ありと、その全てが正当のそれとは確実に違う。そういう場合、プログレにジャンル分けされるのはお決まりのことで。
ある意味実験的で、無機質な感じさえある1枚を、このジャケットデザインはうまく表してるような気がする。

そんなんでまとまりの無さそうなアルバムだが、1曲目から最後まで通して聴いた時の何ともいえない満足感は何なのだろうか・・・。
特に後半は感動、鳥肌。

自分的にはベスト10に入る傑作アルバムである、といいながら決してお薦めはしない。
存在しないと思うのだがライブ音源、映像などは決して見たくないグループである。

Opus Avantra2010/03/04 21:31

 当ブログのタイトルに使用してるアルバムが3枚続き、せっかくなので4枚目。

イタリアの一応プログレに分類される(というか何にもジャンル分けできないものはプログレとされる場合が多い)「Opus Avantra」。1973年(日本では74年?)発表のファースト。
一般的にタイトルは「Introspezione」で通っているが、当初はセルフタイトルだったらしい。
ジャケットの女の子がチョッと怖いが、これも又プログレファンにはお馴染みのジャケットで、印象的。バンド名の「Avantra」はアヴァンギャルド+トラッドの造語と。
1曲目、いきなり弾いているのか叩いているのか分からないフリージャズ的なピアノのソロから始まり確かに前衛的。と、思っていると徐々に女性ヴォーカル(Donella Del Monaco)のソプラノ声が入ってきて、これはオペラ?クラシック?=イタリアン・トラッド? 確かに「Avantra」・・・?

 さておき、内容は先にも言ったようにジャズ&オペラ、クラシックの要素有、おまけに?ロック要素も有。更には語りも・・・?という言葉では何とも不可解な作品だが、聞いているうち不思議に引き込まれてしまう1枚。
特に6曲目「Il Pavone」、これだけ聞くと、ただのいい曲なのだが、1曲目から聞き通してここに辿り着き、ピアノのイントロが始まるとなぜか涙が出てくるのは自分だけだろうか・・・。名曲です!
で、7曲目「Ah, Douleur」、チェンバロ、バイオリン、チェロ、フルート、オペラ調ヴォーカルと、これは室内管弦楽・・・と思いきや、いきなりロックに・・・かっこいいです!

 当アルバムは、「イタリアの至宝」または「イタリアの奇跡」とかよく言われているが、それは決して誇大評価ではなく、我的にもプログレのベスト10に入る程大好き!
が「AKPITAΣ」と同じく決してお薦めはしません。