Leb I Sol2010/05/05 00:46

 初登場国、旧ユーゴスラビアの「Leb I Sol」。
1978年発表の「Leb I Sol 2」、タイトル通りの2作目である。

こちらのグループ、なんと言っても演奏がうまい。
ベース、ドラムは正確にリズムを刻む単調な演奏が多いように思うのだが、ようく聴いているとテクニックはかなりのものかと。
その反面、これでもかと言わんばかりにギターが弾きまくり。
間にいい感じでキーボードが入ってきてバランスが取れている感じ。特に7曲目のピアノのソロフレーズはライル・メイズに聞こえなくもない。

内容は全体的には基本ポップなジャズロックだが、プログレ風ヴォーカル曲あり、ハードロック調あり、AOR風バラードあり、さらにラストの曲はフォークの弾き語り、とバラエティ。
アルバムとしての纏まりはないが、1曲1曲が楽しめる1枚になっている。

Pangea2010/05/08 23:16

 イタリア幻のユニット「Pangea」
その1976年の唯一作「Invasori」。
このアルバムは当時未発表だったが、2007年にCD化されたいわく付き。
イタリアのジャズグループMADRUGADAのメンバー二人が中心となって制作したらしいのだが、その他の情報は皆無。

内容は全10曲。一部唄もあるが、殆どがインストロメンタルの曲調には一貫性が無く、前衛的だったり、ソフトロックあり、カントリーぽかったり、更にはピアノの曲ありと、その全てが正当のそれとは確実に違う。そういう場合、プログレにジャンル分けされるのはお決まりのことで。
ある意味実験的で、無機質な感じさえある1枚を、このジャケットデザインはうまく表してるような気がする。

そんなんでまとまりの無さそうなアルバムだが、1曲目から最後まで通して聴いた時の何ともいえない満足感は何なのだろうか・・・。
特に後半は感動、鳥肌。

自分的にはベスト10に入る傑作アルバムである、といいながら決してお薦めはしない。
存在しないと思うのだがライブ音源、映像などは決して見たくないグループである。

Abstract Truth2010/05/11 23:24

 サッカーワールドカップ代表も決まり、いよいよかと感じる今日このごろ。
そんな南アフリカ関連で1枚。
当国「Abstract Truth」の2作目、1970年発表の「Silver Trees」。

フルートとサックスをメインにした全体に少し翳りのあるブリティッシュサイケ・フォーク・ロックだが、これがなかなか奥が深い。
カンタベリー風ジャズロック要素、プログレ的な要素も相俟って比類のない独特の世界を作り出している。
翳りがあるといいながら1曲目の「Pollution」なんかはアフリカンリズムをちょっと入れたりしていきなり楽しげ。
しかし、その他の曲は前記の感じが徐々に徐々に。が、決して重苦しい感じはせず軽〜い感じで聞ける1枚に仕上がっている。

あくまでもお薦めはサイケ・プログ好きな方で、アフリカンが好きな方は手を出さないように。

Esperanto2010/05/16 17:34

 久々にイギリスのグループ、と言っていいのかどうか・・・。
で、「Esperanto」の1975年発表の3作目にしてラストアルバム、だからなのか「Last Tango」。
一応イギリスのグループとして紹介されているが、Esperanto(=国際共通語?)の名と、中心メンバーのヴァイオリニスト、Raymond Vincentがベルギー人であること等から多国籍群グループである。
人員もオーケストラ的な人数で、1枚目は12人、2枚目は9人、そしてこの3枚目は8人と。
一般的には1、2枚目の方が評価は高いのだが、前作でギターが抜けてしまったことが大きな要因となっている様な気がする。自分もギターがいないバンドはあまり好きではないのだが、このアルバムに関して対象外。

内容は、ヴァイオリンをメインに構成がなされ、更には管楽器をフィーチュアし、まさにオーケストラ。
ごあいさつの1曲目からいきなりビートルズのカヴァー「Eleanor Rigby」をもってくるあたりは賛否あると思うのだが、オリジナルのそれとは全く別物にアレンジしていて斬新。
2曲目「Still Life」。出だしのヴァイオリンとベースのユニゾンor掛け合いは今まで聴いたことのない何ともいえない格好良さ、必聴!
そして5曲目、12分の大作「The Rape」は圧巻!このグループの集大成曲といっても過言ではない名曲かと。このアルバムで解散したのを頭に入れて聴くとチョッと切なくなる曲である。
そしてラストの6曲目、アルバムタイトル曲「Last Tango」で締めるあたりは、「終わったな・・・」っと感慨。
全体的に纏まりがあり、いいアルバムであることは間違いナシ!

Renaissance2010/05/22 13:51

 マイナーなアルバムが多いので、ここらで超メジャーなイギリスのグループ「Renaissance」。
しかし、1971年発表の2作目「Illusion」って・・・。

伝説のグループ「The Yardbirds」のヴォーカル「Keith Relf」が作ったグループである。
「Renaissance」といえばヴォーカルは「Annie Haslam」が一般的。特に4th「Ashes Are Burning(邦題=燃ゆる灰)」はプログレの名盤として必ずと言っていいほど紹介される程。
当アルバムは、そんな大売れする前のアルバムで、ヴォーカルは「Keith Relf」の妹「Jane Relf」。兄が1stで抜けたからなのか、妹もこの2ndで脱退。
その後、当アルバムのタイトルである「Illusion」をグループ名にし活動を開始するのだが、なんか意味深・・・。
そんな「Jane Relf」、「Annie Haslam」の影に隠れて紹介されることは少ないが、負けず劣らずの自分的には大好きないい声である。
アルバムの内容は、ジャジーかつクラシカル、更にはフォークっぽいところもあり、全体的に漂う翳りはこれぞ70年代ブリティッシュ。実際は、サポートをたくさん採用してやっとリリースした作品で、へたをすればお蔵入りになっていたかも、っていういわく付きのアルバムの様である。
しかし、その出来映えはその後の華やか且つ壮大な「Renaissance」とはひと味違う非常にいいアルバムに仕上がっている。
特に5曲目「Face Of Yesterday」はノスタルジックで切なくなる名曲。
更にラスト6曲目、15分近い「Past Orbits Of Dust」。第1期を締めるにふさわしいジャズロックの大作。
第2期のポップな感じがいまいちと思っている人にはこちらがお薦めである。

Illusion2010/05/29 01:09

 前回グループ名を出したので、せっかくだから紹介。

イギリスのグループ「Illusion」。
第一期「Renaissance」のメンバーが中心となって作ったグループである。
しかし、1st発表前にリーダー的存在のKeith Relfが練習中に感電死。
追悼の意を込めたであろう作品となった1stをその翌年1977年に発表。
そしてこの2作目を1978年に発表し、これがセルフタイトルとなっている。

内容は、第一期「Renaissance」の曲調を継承しつつも1stよりほんの少しハードな部分もあるが、バラードは更に熟成された感じもあり、聴いていて非常に落ち着く。
ヴォーカル「Jane Relf」がいいのは当たり前なのだが、それとこの2ndはリードギター「John Knightsbridge」の音が1stより前に出ているが、これが非常にいい!
1曲目の「Madonna Blue」終盤の長〜いギターソロでフェードアウトするあたりは一見ありがちな感じだが、いつまでも聴いていたくなる様なこんな音は意外に少ない。一般的なギターソロに比べても非常に長いのだが、全然長く感じられず、逆に短く感じる程である。
そして3曲目「Louis' Theme」、4曲目「Wings Across The Sea」の翳りは、このアルバムを象徴する名曲かと。

第二期以降の「Renaissance」とは反する方向性の翳りたっぷりの正統派ブリティッシュ・フォークプログレ。
その極みとして是非聴いていただきたい1枚である。